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インドネシア・ニアス島緊急復興支援プロジェクト
AMDAニアス 小林恵美子
  昨年9月末から始まったニアスにおける地震・津波災害復興支援事業は、現在、第二期に入り、プロジェクトの完成をめざして、奮闘しているところである。本稿では、プロジェクトのこれまでの成果を報告するとともに、現在、我々が直面している問題、今後の予定についてまとめてみようと思う。
 ニアス事業は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)から委託を受けて行っているものであり、昨年9月末から12月が第一期、今年1月から12月が第二期となっている。このプロジェクトでは、大きく分けて、2つの事業を行っている。第一が、被災した住民のための仮設住宅の建設および技術支援である。第二が、UNHCRが調達し、仮設住宅を建設しているNGOや地元業者に配布されている木材が、本来の目的どおり、仮設住宅建設のために適切に使用されているかどうかを監視するモニタリング業務である。UNHCRによる木材の供給は、今年3月末に始まった後、8月第一週で止まってしまっているため、本稿では、第一の業務、仮設住宅の建設および技術支援事業の進捗状況を中心にご紹介する。
AMDAフィールドオフィス
仮設住宅の建設は、ニアス島の南東部海岸線に位置する3つの村(ボジホナ、タガウレ、ボトヘンガ)で行われている。ボジホナは、ニアス島の中心地、グヌンシトリから南へ車で片道2時間かかるところにあり、タガウレ、ボトヘンガへは、さらにボートで30分から1時間かかる。現在のところ、ボジホナに事業地の拠点をおいて、仮設住宅の建設を進めている。

 AMDAでは、これらの3村で、あわせて248軒の仮設住宅を建設する予定である。以前、本誌上で紹介したとおり、仮設住宅の建設はcommunity-based、つまり、住民参加の手法で行っている。大工を雇い入れ、仮設住宅を機械的に建設していくのではなく、住民が建設工程や大工技術を学び、自らの手で自己の仮設住宅を建設していく、「住民の、住民による、住民のための建設」を目指している。住民は、仮設住宅の基礎工事をそれぞれ行うとともに、AMDAが雇っている大工の指導を受けながら、上棟部の建設にも従事している。さらに、村ごとに組織されたCommunity Rehabilitation Committee(復興委員会)が、住民間の利害調整、資材の運搬・保管、治安維持など事業を推進する際に直面せざるを得ない様々な問題の解決に中心的役割を果たしている。

 仮設住宅の進捗具合は、昨年届くはずであったUNHCR調達の木材の到着が、今年3月半ばまでずれ込み、思うように進まないという難しい状況が続いてきた。実際、4月の時点では、研修を兼ねて建設したモデル・シェルターが2軒完成していただけであった。しかしながら、4月以降、木材の到着とともに、建設にもはずみがつき、5月には33軒、6月には36軒、7月には28軒と着々と完成の歩を進めてきた。

 8月以降、再び木材調達に伴う問題が再燃し、建設に遅れが見られるようになってきたものの、10月半ばの時点で、ボジホナ分、全126軒、およびタガウレIおよびIIに建設済みのモデル・シェルターを加えて、128軒の完成にこぎつけた。現時点で残っているのは、タガウレ、ボトヘンガで建設予定の120軒であるが、過半数の基礎工事は既に終了し、木材および窓、ドアなどの到着を待つだけとなっている。

 現在、我々が直面している問題には、大きく分けて3つある。第一に資材の供給・調達の問題。第二に、調達した資材を建設地まで運びこむ物資輸送の問題。第三に、天候の問題である。

 既に指摘したとおり、本プロジェクトの遂行にあたって、一番の問題は、木材の供給の遅れであったが、それに加え、予定されていた木材の供給が8月で停止されることとなってしまった。これまでのところは、手持ちの木材で、やりくりをしてきたが、残りの仮設住宅の建設を推し進めるためには、新たに木材を調達する必要があり、早急に取り組まなければならない課題となっている。

ボジホナの材木置き場


仮設住宅建設に必要な橋作り


建設途中(基礎工事・枠組み)の仮設住宅


完成した集落
 第二の、物資輸送の問題は、これから仮設住宅の建設を本格化しなければならないタガウレ、ボトヘンガへのアクセスの悪さに由来する。これらの村々は、ボートでなければたどり着くことができず、また、資材を海岸まで運び込むことに成功しても、そこから、村内部までの道が、トラックを使用するには、細く、また、未整備である。AMDAでは、UNHCRの助言を受けながら、道や橋の建設を行ってきた。現在、その作業も終了し、資材の運び込みを順次行っているところである。しかしながら、資材の運搬が終了するには、まだ相当の時間がかかることが予想される。

 第三に、現地ニアス島は、9月から雨季に入っている。現地の気候は典型的な熱帯性気候で、乾季と雨季に分けられるのであるが、9月から2月頃までが雨季に当たる。時には、激しい雨が降り続き、仮設住宅建設という屋外での活動を行わなければならない住民、そして、AMDAの職員には、厳しい季節とも言える。また、アクセスが海からしかない事業地では、天候の不順、海の荒れから、事業地そのものに入れない日もあり、事業の進行に与える影響は小さくない。

 
本事業では、今後、引き続き、残りの村での仮設住宅の建設を進め、上記の通り、さまざまな困難が伴うものの、予定通り今年末までの全248軒の完成を目指している。また、仮設住宅の建設が終了した後、被災はしたものの修理が可能な95世帯の住宅に対し、支援を行うことを予定している。同時に、UNHCRからの要請で、他のNGOが資金の不足のために断念したタガウレでの共同トイレ建設に着手する予定である。

 最後に、モニタリング業務においては、本来ならば、この夏から秋にかけて、調査対象の団体数が飛躍的に増加することが予想されていたのであるが、UNHCRの木材の供給が止まってしまったために、今後は、既に供給された木材の使用を監視する業務を続けていくことになる。現在のところ、アムダを含む10のNGOとインドネシア政府復興庁から委託を受けた5業者に対する監視を行っているが、今後も、引き続き、これらの団体がどのように木材を使用しているか調査を続け、その結果をデータベースおよびレポートにまとめ、UNHCRに提出していく予定である。
 


 

 

 

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