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G6-PD欠損症の症候(G6-PD deficiency, symptomatology)


重症度は欠損の強さによって異なる。黒人種(Gd(-)A型)では、酵素活性の部分欠損(正常値の20%程度)により、酸化剤投与時に急性溶血を見るのみである。他の人種では、欠損がより高度の場合、新生児黄疸、慢性溶血となって現れる。
黒人における臨床症状急性溶血性貧血の溶血発作は殆ど常に酸化剤投与によって起こる。Primaquineが最もよく知られており、その他多くの薬剤が報告された。肝や腎の機能不全があると、この傾向は強まり、ある種の感染症(特に肝炎)では発作を誘発し易い。
溶血発作の進展は3期に分けられる。投与後2-3日して赤血球減少が生じる。さらに貧血、脾腫、発熱、黄疸、大量の溶血がある場合は、ヘモグロビン尿症が認められる。検査上、貧血は中等度の正色素性再生不良性で、赤血球中にHeinz小体を認める。貧血は10日目位に最大となる。その後投薬が中止されなくても、10日目から40日目位の間に回復期に入る。つまり貧血は3-4週間で改善され、網状赤血球の増加(25-50%)から、骨髄の活性が非常に高まっていることが判る。さらにその後安定期に入り、貧血はないが軽度溶血が持続するようになる。これに赤血球の寿命が短縮していることを示す。原因薬剤を継続しても、臨床改善を妨げない。この理由は初期の溶血で、感受性の高い古い赤血球は破壊されてしまい、投薬による刺激に対しても破壊されない程G6-PD量が増大した新たな赤血球に置き換わるからである。この抵抗性は相対的なものでしかなく、薬剤がより多く投与されれば耐忍出来ないであろう。また一方、この抵抗性は一時的であり、投薬を一時中断した後に再開すると、再び貧血を繰り返す。実際、投薬を中止すると、網状赤血球症は消失する。

,B>白人や黄色人種における臨床症状:薬剤投与や感染による溶血性貧血は、しばしば黒人より激しく現れる。より強い溶血、発熱、ショック、ヘモグロビン尿症、無尿症が認められる。薬剤投与が控えられない間は、ずっとこの症状が続く。多種の薬剤で、また極微量の投与で誘発される。感冒や特にウイルス性肝炎といった一部の感染症で、しばしば急性溶血が惹起される。腸チフスの場合、chloramphenicolがその原因となることがある。

ソラマメ中毒(favisme)はソラマメの摂食(又はその粉の吸入)によって引き起こされる急性溶血性貧血である。これはGd(-)B地中海型のG6-PD欠損保有者に起こる。この中毒はSicile島、Sardaigne島、ギリシャ、イスラエル、中国で発生した報告がある。小児に起こる亜急性型(ヘモグロビン尿症や無尿の原因となる重症の溶血)と成人の軽症型は区別される。ソラマメ中毒患者は全員G6-PD欠損保有者であり、酸化剤に感受性が高いが、G6-PD欠損患者全てがソラマメに感受性がある訳でない。このことからソラマメ中毒を起こす患者では、常染色体性に遺伝する、溶血の感受性を高める異常な遺伝子が更にあることが示唆される。

新生児の溶血性黄疸:イタリア、ギリシャ、中国に比較的多い。生後数時間より発症し、あらゆる点で母児間血液型不適合による溶血に類似している。本症でも交換輸血をしなければ、核黄疸の危険性がある。ある報告では、一部の薬品が関与するとのことである。即ち、母親や児への酸化剤投与(vitamine Kの注射、おむつへのnaphtalineなど)である。

慢性溶血性貧血:G6-PD欠損は稀に慢性溶血性貧血の原因となる。小球性貧血で、殆ど常に白人種に見られる。貧血は幼時期または生下時に起こり、中等度であるが、時に赤芽球減少や急性溶血(薬剤投与や感染時)のクリーゼが発生する。成長発育に異常はない。足潰瘍、ビリルビン結石、輸血後の血色素症は稀である。

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