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その他のヘモグロビン症(other hemoglobinopathies)


異常ヘモグロビンは現在500以上が知られている。等電点電気泳動の手法などで、各々の性質を分けることが出来る。また以上ヘモグロビン間の変異も明らかになった。臨床症状を示さないヘモグロビン症は、HbO Arab, HbN Baltimore, HbD Punjab, HbJ Broussais, HbD Korlebu, HbJ Mexico, HbK Woolwichなど非常に多い。そして(Hb S, Hb Cなど)一部が鎌状赤血球を呈する症候群の原因となっている。一部の特別な症例では、ある種の異常ヘモグロビンがヘテロの状態で臨床症状を示すことがある。これは不安定ヘモグロビン(Heinz小体をもつ溶血性貧血の原因)、酸素親和性の高いヘモグロビン(多血症の原因)、酸素親和性の低いヘモグロビン(チアノ−ゼや貧血の原因)、ヘモグロビンM(不飽和やメトヘモグロビン血症によるチアノ−ゼを来す)等である。さらにつの異常ヘモグロビンが他のヘモグロビン症とヘテロとなると、双方の症状を重篤化する。つまりβサラセミアとヘモグロビンE、鎌状赤血球症と、HbC, HbO Arab, Hb Pujab, Hb Leporeなどの重複である。

臨床症状のない異常ヘモグロビン症
ヘモグロビンO Arab症(hemoglobinopathy O Arab)
β鎖の121番目のアミノ酸がヘモグロビンAと異なる(グルタミン酸がリジンに置き換わる)。ヘモグロビンO Arabはアフリカや米州の黒人、サウジアラビア、ブルガリアなどで見られる。このヘモグロビンはアルカリ条件下の電気泳動で、ヘモグロビンCのように泳動する(酸性条件下でゲル化した緩衝液中ではそうならない)。ホモもヘテロも症状を示さないが、ヘモグロビンSとO Arabの重複ヘテロは重症である。

不安定ヘモグロビン(instable hemoglobin)
疫学:不安定ヘモグロビンはその一次構造の異常から、Heinz小体として赤血球中に沈降している。稀にしか見られず、熱帯に特に多いわけでもなく、常染色体優性遺伝形式で遺伝する。

症候と診断:酸化剤(sulfamides)のような薬剤で急性溶血が始まり、明らかになることがある。溶血性貧血は慢性であり、黄疸、脾腫がよく見られる。メソビリフスチンのため尿の色が黒くなり、チアノ−ゼとメトヘモグロビン血症のため皮膚が茶色になれば、この疾患を疑うべきだが、常に見られるわけではない。臨床検査上は溶血性貧血の強さはいろいろである。Heinz小体は摘脾の後に、塗抹標本でよく見られる(遺伝性球状赤血球症と誤診されることがある)が、特異的現象ではない(G6-PD欠乏症でも同様に見られる)。ヘモグロビンの電気泳動は正常である。温度や様々な化学物質で誘導される不安定性を確かめるのが、診断を確実にする。

治療:酸化剤系の薬剤(sulfamides)は避けるべきである。抗生剤、輸血はしばしば必要で、摘脾の際によい結果を生み出す。

メトヘモグロビン血症を伴う異常ヘモグロビン(hemoglobinopathies with methemoglobinemia)
疫学:常染色体優性に遺伝するヘモグロビンMは、メトヘモグロビン血症の原因である。メトヘモグロビンとは鉄の部分が第二鉄に置き換わっているもので、そのため酸素との結合が抑制される。ごく少量のメトヘモグロビンは正常な赤血球の代謝の結果でも見られるが、鉄に破壊されるが、特殊な酵素で分解される。ヘモグロビンMはこの分解に抵抗する。現在5つのメトヘモグロビンが知られている。アジア(日本)、欧州(ギリシャ)、米国などで見つかっており、黒人種には稀である。

症候と診断:ホモは致死的で、ヘテロでは10%以上のメトヘモグロビン血症でチアノ−ゼを口唇、鼻、指先に呈す。このチアノ−ゼは生後早期から現れ、(多血症や心肺疾患のない)単発性である。メチレン青やビタミンCでも効果がなく、症状が持続する。臨床検査による診断には、メトヘモグロビンの血中濃度や、分光光度計、電気泳動による。 ヘモグロビンM症は二次性のメトヘモグロビン症(普通は毒素による)やメトヘモグロビンと還元物質との酵素性反応系の先天異常による場合から区別されねばならない。

酵素親和性に異常のあるヘモグロビン(hemoglobinopathies with oxygen affinity)
この異常ヘモグロビンは常染色体相互優性に遺伝し、多血症(親和性の高まったヘモグロビンの場合)や反対に貧血やチアノ−ゼ(親和性の低いヘモグロビン)を呈する。ヘモグロビンの電気泳動は正常である。酵素親和性曲線を調べるのが決定的である。予後は良好で、多血症時には瀉血を、貧血時には輸血を避けることが重要となる。

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