Sorry ,This page is written in JAPANESE. English version is not available


蛋白・カロリー栄養不良の予防 蛋白カロリー栄養不良の予防  熱帯地方で蛋白カロリー栄養不良症の頻度が高く、重篤で、重症例の入院費がかさんでいる現状から、まず予防に力点を置かねばならないことが解る。しかしこれには非常に多くの経済的、人的、文化的障害に直面し、簡単ではない。 検診と栄養不良症の早期治療:母子保健センターの活動でこれが見つかる。乳児の定期的な身長体重測定は、大変良い監視方法である。児の状態がどうであれ、体重が年令相当の平均体重よりも少ない場合、(常に当てはまるわけでないが)注意しなければならない。或いは2回の体重測定の間に増加が不十分の場合(生後3−6ヵ月では 225g/月、生後6-12ヵ月では450g/2ヵ月、12−24ヵ月では45g/4ヵ月以下)でも要注意である。生後2年目には上腕周囲長を測るのが大変有効で、これが明らかに13cm以下の場合、まず栄養不良症の存在が確かである。栄養不良の程度が軽い場合(体重が正常の75−90%)、母親に子供の栄養法に関して指示を与え、体重増加を監視するのがよい。もう少し進行した場合(体重が正常の60−70%)には母親に指示するだけでなく、蛋白の豊富な補助食(脱脂粉乳かいわゆる離乳食)を与え、もし可能ならば回復センターに連れていくことが必要である。診療所で検診を受けて、より重症と判った場合、児を入院させねばならない。 食餌療法の指導:病院、診療所、回復センター、或いは保健指導巡回チームで行なわれる。病院と診療所での場合は治療が目的で、正常な子供に必要な予防的処置としてではない。監視と教育を行なう巡回チームは定期的に村や町の母親達に会い、大変良い結果を得ている。母親に簡単な食餌療法のやり方を教えると同時に、伝統的な食品を摂る習慣を根本的に変える教育も出来る。地域の状況が様々に異なるので、この食餌指導を図式化することは難しい。しかしどんな場合でも、生後18−24ヵ月間は母乳を長く与えることは栄養不良症を防ぐよい方法として勧められる(図4−8)。生後6ヵ月以降、蛋白質に富む食品を補給することを充分強調する必要がある。最善策は母親にその地域の食物で子供たちに良いものを教えることである。主食にはヤマノイモやマニオクといった根菜やバショウ科の植物でなく、穀類(粟、米、玉蜀黍)を勧め、豆類(いんげん豆、レンズ豆)をよく調理して摂るのが良いことを教える。また動物性蛋白(地域によって肉、新鮮な魚、干し魚、牛乳、卵)を特別に摂ることが重要であると強調することと、これらの食品は大人よりも子供にずっと多く必要であることを理解してもらうようにする。一部の国々では、地域の食品を使って工場生産された《離乳食》が入手出来る(表4−9)。これはあまり高価でなく、子供の蛋白補給の為に勧められるが、しばしば心理的にうまく受け入れられないことと、最貧困層の人々にはまだ高すぎるという問題がある。人工乳に関しては、熱帯地方では子供の日常の食事に盛り込まれる余地はなく、栄養不良症が明らかな場合の治療用に保管されているのが現状である。 回復センター:病院の体制というものは保健教育を行なうのに適していない。食餌指導は子供の病悩期間中は行なわれても、病気が治った時点で忘却されることが多い。最も有効なことは《栄養状態改善》のための施設を設立することである。これは伝統的な家屋の中に十数人の子供たちとその母親を収容出来、診療機関の近隣に作る。栄養不良症のために入院治療した後の子供、必ずしも入院が必要でない子供を収容する。地域指導員がその地域で入手出来る食品を使う栄養補給法を実際に示し、実習を行なう。定期的に子供たちを観察し、時には栄養の豊富な食物を配給する。家庭内でその栄養補給法を変えるだけで子供の状態が改善するのは、この方法の利点を示す最も確実な証明である。その後村に帰ってからは、指導員が定期的に訪問し、栄養相談、困難な問題の解決、家族や村全体の保健教育の推進に当たり、必要によっては交代しながら、その場所に指導員が一人留まるようにする。このような指導員を養成することは何よりも重要である。人々が傾聴するような話術のある女性(既婚で家族持ち、話し好き)で、保健上の問題や社会体系についての意識を持ち、地方の生活にきちんと適応して、他の開発的な仕事をする者(農園業者、高蛋白の作物を栽培している者、放牧業者、漁師)と協調出来る人を丹念に探し出さねばならない。
熱帯医学データベースに戻る

AMDAホームページに戻る


      このページは、アムダ企画のご協力により作成されました。

            お問い合わせはmember@amda.or.jpまでお願いいたします。