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蛇毒と分泌器官(le venin et l'appareil)



全ての前牙型と管牙型のヘビは機能的には2本の毒牙を有す。これは正中線を対称にして上顎部に位置し、同側の毒腺とつながっている。体長の大きなヘビでは、毒腺が頭部の後方にまで広がっている。機能している毒牙の後ろには、1本目が脱落した際の予備の牙がある。前の牙が抜け落ちた数日後には、次の牙が機能する。
コブラ科とウミヘビ科の毒牙は不動性のため、これらのヘビは毒を注入するために獲物に咬みつかねばならない。例えば体長4mのキングコブラでは牙の大きさは11mmと、牙は小型である。クサリヘビ科とマムシ科の毒牙は長いものが多く、一例としてBitis gabonica(図1)は体長2m足らずだが、牙の長さは時折3cmを超す。このヘビの毒牙は小さな上顎にあり、可動性で、攻撃時には顎を上転させて牙を突き立て、獲物に突き刺す。マムシ科のヘビの1-2本の毒牙を同じように用いる(図2・採毒中のハブの牙)。毒腺の収縮と毒液の注入は、獲物を襲う時に自発的に働くもので、防御機構によるものでない。このことから、危険な毒蛇の咬傷の大半では、毒液は注入されないと云える。
蛇毒(venom, venin)の科学組成は複雑である。蛋白融解性酵素を含有し、組織に毒が浸透し易いため、局所病変の壊死が起こると考えられる。毒素の病理学的特性から分けられることが多い。

神経毒作用; 末梢神経の運動・知覚麻痺(タイワンコブラのコプロトキシン、エラブウミヘビのエラブトキシン、ヒロオウミヘビのラティコトキシン) 中枢神経系呼吸麻痺(ガラガラヘビのクロタクチン) 壊死作用;マムシ科、クサリヘビ科のエンドペプチダーゼ、コブラ科のペプチダーゼ 溶血作用;コブラ、ハブ、ガラガラヘビのホスホリパーゼA2 血液凝固作用;マムシ科、クサリヘビ科のトロンビン様物質(Bothrops jararacaのレプチラーゼ、ボツルパーゼなど) 循環阻害作用;クサリヘビ科やマムシ科の毒により、人体組織のヒスタミン、ブラジキニンが活性化される
蛇毒の化学組成はヘビの種によって特異的であり、同じ種でも地域により組成が異なることがある。それ故、地域の種に合わせて作られた抗毒素を利用することが望ましい。
さらに若いヘビの毒は親のそれより強いことが時折ある。体内に注入される毒の量は様々であるが、毒腺の容量の差は常に僅かで、短時間に数回続けて咬まれた際の、蛇毒の注入量は同じ可能性がある。そのため2回目の咬傷も初回と同じくらい危険であろう。

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