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魚網(Pisces)の中毒



フグ中毒(fugu intoxication, intoxication par fugu):フグ属(Tetrodon)には無毒のものから、猛毒のマフグ科(Tetraodontidae)まである。マフグ科で主に中毒の原因となるのは、日本近海に生息する9属40種で、このうち日本で刺身に珍重されるトラフグ(Takifugu rubripes、図1)は重要である。フグ毒の成分であるtetrodotoxin*は肝、卵巣に多く含まれ、トラフグの血液には認められない。一方日本沿岸で釣をしていてよくかかる小型のクサフグ(Takifugu niphobles、図2)やコモンフグ(T.poecilonotus、図3)は精巣や筋を含む全身に毒があるため、素人が調理して中毒に陥り易い。
フグ中毒は殆ど日本に限局し、中毒の件数は公表分だけでも年間100-200件にのぼる。このうち半数が死亡している。長崎県島原地方ではフグ料理のことをガンバ(棺桶に由来する)と称している。
tetrodotoxinは人体への吸収が早いため、中毒症状は食後1時間以内に発現することがある。初期症状は口唇や舌、手指のしびれ、発声不能、嘔吐などで、次第に随意筋の麻痺から延髄の中枢性麻痺(特に呼吸麻痺)と昏睡に陥って死亡する。
tetrodotoxinは排泄も早いため、発症後9時間を経過したものは殆どが救命可能となる。
治療は血圧低下と呼吸抑制の管理を中心に行う。摂食直後であれば、tetrodotoxinがアルカリで分解され易いので、重そう液で胃洗浄を試みる。気管内挿管による人工呼吸は特に有効である。適当な処置を施せば、約10時間後に筋力が回復し始め、20時間後には自力呼吸が可能となる。
*tetrodotoxinはフグの他に、ツムギハゼ(Gobius criniger、図4)やヒョウモンダコ(Hapalochlaena maculosa)にも含まれ、後者の場合、噛傷により中毒を起こすこともある。

シガテラ中毒(ciguatera poisoning);太平洋のサンゴ礁に生息するタルミ、ハタ、ヒラアジ、ニザダイ、ウツボ、サメ類を食して起こる、神経・胃腸型の食中毒をいう。
毒素成分は脂溶性のciguatoxinとscaritoxin、および水溶性のmaitotoxinなどで、海草に付着して生育する渦鞭毛藻(Dinoglagellata)のGambierdiscus toxicusによるものと考えられる*。太平洋の諸島部で広く見られるが、多くの住民はこれを中毒として認識していない。
摂食直後から不安、腹痛、嘔吐、発汗、頻呼吸、運動失調が引き続いて起こり、呼吸停止に陥ることもあるが、死亡例は殆どない。
治療はatropineとPAM(2-pyridine aldoxime methochloride)を投与する。 *新寄生虫病学(第10版)による。
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