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B型肝炎の疫学


 B型肝炎は世界中に見られる代表的なウイルス性肝炎。アジアやアフリカの浸淫地では小児期までに感染し、10-20%がウイルスキャリアとなる。
急性B型肝炎は、症状も激烈でなく、肝壊死などで死亡する症例は入院例の1%未満(大半が40台以上)である。一方、慢性化すると肝機能が低下して、15-20%はいずれ肝硬変肝細胞癌を引起こして死亡する。世界中の肝細胞癌の80%は、HBV感染が原因と云われる。
特にアフリカ、アジア、極東地域では、B型肝炎の母子感染が、本症の蔓延を悪循環させている。

  HBVはヘパドナウイルスに属し、Dane粒子とも呼ばれる。表面を厚さ7nmの外殻が覆い、内部に27nmのHBc抗原と、HBe抗原二重らせんDNAを有する。
表面抗原(HBsAg)にはサブタイプとして、共通抗原と、d/yw/rがあり、adwaywadrayrの4型が地域的疫学分類の主流となる。
HBeAgは可溶性のコア抗原の一部であるが、HBcAg自体と交叉反応を起さない。臨床的意義については、診断の項目を参照。
 HBVは熱には比較的安定で、160℃で失活するのに1時間かかるが,グルタールアルデヒド、塩素、酸(pH3.0)では簡単に不活化される。

 HBVは実験的にチンパンジーに感染するが、血液、唾液、精液、膣分泌液を介したヒト−ヒト感染だけが問題となる。
感染形式は、輸血、薬物注射、刺青といった経皮的感染と、性交、分娩時の経粘膜感染が殆どを占める。HBVは自然環境で1週間以上生存し、かつ感染力が強いため、歯ブラシや剃刀の共有でも感染することがある。実地の疫学調査を行えば、症例の1/3は感染経路を特定出来る。

 B型肝炎の潜伏期は45-180日(平均60-90日)と云われ、感染ウイルス量や感染形式による。HBsAg保有者は感染源となり、特にHBeAg保有者はウイルスキャリアとして重要である。慢性化は感染時期が年少である程起こりやすく、新生児感染は90%、1-5歳児は25-50%、それ以降では1-10%と低くなる。
本症は感染しても無症候または軽症のことが多く、本人がウイルスキャリアであることを知らないことも多い。ダウン症候群、リンパ球増殖性疾患、HIV感染者は慢性化しやすい。


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