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歴史と現状
14世紀の頃から、世界中での流行は《ペストが長引いた》熱と考えられていた(Craigie, Henderson)。1868年にObermaierが、患者の血中から病原体のスピロヘータを発見した。1903年から1910年にかけて、幾人かの学者がアフリカの回帰熱におけるマダニの役割と、病原体のBorrelia duttoni(BorrelとDuttonを記念して命名された)の分離について報告している。コロモジラミが世界的な流行と伝播に関与していることは、SergentとCharles Nicolle兄弟の業績により明らかとなった。
シラミ対策と患者の抗生剤治療を行なうようになってから、ボレリア症の大きな流行は大幅に減少した。かつての回帰熱の流行地帯は、特に熱帯地方で大きく沈静化した。

  世界的な回帰熱の流行:病原体はBorrelia recurrentisで、感染したヒトのみが保有者として知られている。流行の休止期でもB.recurrentisは保有されていることは見逃されている。媒介昆虫はコロモジラミ(Pediculus humanus) で、これは羽を持たず、不完全変態する昆虫(anoploures)である。ヒトだけに寄生し、衣類や毛髪に付着して生活する。成虫には両性あり、幼虫と同様、それぞれが吸血する。極端に貪欲で、咬着しないと抵抗力は非常に弱い。患者に吸着して感染する。
シラミの体内に侵入したBorreliaは、体腔内に速やかに至り、そこで活発に増殖する。感染後6-10日目にシラミを人間が叩き潰すと、その人が感染する危険が高い。シラミから押し出されたBorreliaは、掻き毟られた皮膚や結膜から侵入する。
シラミの数が増加し、人間の抵抗力が弱まれば、回帰熱の世界流行が発生し易くなる。寒波、不衛生、栄養不良、雑居、社会と政治の混乱、戦争などが、かつて戦時中に世界的な流行を起こした原因となった(1908年には患者数5,000 万、1940年には1,000 万)が、現在ではシラミ媒介回帰熱は消滅の方向にある。残存している重要な流行巣は、エチオピア、スーダン、ソマリアにある。

  マダニによる地域的な回帰熱B.hispanica, B.persica, B.duttoni, B.venezuelensisなど、幾つかのBorreliaが病原体となる。地域的な回帰熱は人畜共通感染症で、ヒトの他にしばしば野性の齧歯類、或いは稀に家畜(イヌ、ネコ、ブタはスペイン・モロッコで回帰熱に罹る)が感染し、病原体の保有動物となる。媒介昆虫はOrnithodoros属のマダニで、ダニ目としては大型(10-15mm)である。その習性はトコジラミのそれとよく似ており、齧歯類の生息する土地の地面の割れ目や壁の隙間に棲んでいて、夜間に活発に動く。成虫には両性があり、幼虫と若虫が吸血性で、終宿主以外にも好んで咬着する。長期間咬着しなくても耐えられる。Ornithodorosは感染した動物またはヒトに咬着して感染させる。
Borreliaは活発に増殖して、第6日には唾液腺や足関節部に沢山集まる。Ornithodores継代感染する。宿主側からの大きな抵抗があるものの、これによりBorreliaは自然界にうまく生存出来るのである。
ヒトへの感染は動物の場合と同様、マダニの咬着からと、足関節部から放出されるBorreliaを大量に含んだ体液が咬着部から侵入するものとがある。
Ornithodoresの習性により、マダニ媒介回帰熱は農村部で夏季に多い。人間の症例は散発的で、Ornithodoresが棲むような砂地の壁で、齧歯類が姿を見せる家屋に居住する家族で、小さな流行を起こす。

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