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症候
フランベジアは風土性トレポネーマ症の中で最も強烈で、四肢を欠落させることが一番多い。3-4週間の潜伏期の後、フランベジアは梅毒と同様、3期にわたって進行する。第1期と第2期が早期病変で、第3期が晩期病変を起こす。

         第1期:フランベジア性下疳の出現が特長的だが、恒常的でない。ふつう下肢(95%)に発生し、以前に出来た傷跡に生じることが度々ある。上肢や顔面には稀で、外陰部に出来ることも異例である。同部の潰瘍の大きさはいろいろで(5cmほど)、《筋肉の色》を呈し、無痛性で痒みがある。表面はジフテリア様の膜があり、パピルスのような痂皮で覆われる。ふつう所属リンパ節にリンパ節炎を合併する。フランベジア性下疳は色素欠乏性の瘢痕を残して、自然治癒することがある。時おり《熱帯イチゴ腫(ピアノーマ)》という大型のフランベジア性腫瘤が、小型の腫瘤に取り囲まれて出来る。これはフランベジアの本体であるが、昔は初期病変と考えられていた。

  第2期:下疳が発症してから約3週間して始まる。全身状態はふつう良好に保たれるが、時おり衰弱、リュウマチ性疼痛、発熱を見る。フランベジア性のバラ疹は希(症例の4%)で、黒い肌では見付けにくい。ピアノーマはこの時期に特徴的な所見である。
皮膚のイチゴ腫はパピローマ様病変で、菜花状で球状に近く、時おり掻痒がある。その様相はフランベジアを熱帯イチゴ腫、または英語圏でyaws(スコットランドの山岳部に生息する野生のキイチゴ(framboises)を意味する)と呼ぶに相応しい。その数は6個ほどから100 個くらいまで様々で、何らかの外皮で覆われる。手掌や足底部では、角質層を貫いて2層にわたり《カニ足》と称される潰瘍を作る。これは有痛性で、裸足の学童に多い。
粘膜病変は確実でない。顔面では口唇内側、頬部、舌、陰部の包皮に病変を作る。活動性の皮膚または粘膜病変からはトレポネーマが検出される。
ピアニーデとは乾燥して極端に多形性の丘疹で、落屑があり、渦状または匍行性を呈す病変をいう。これにはピアノーマが合併したり、しなかったりする。最近出来た、活動性の腫瘤でも、トレポネーマの量は乏しい。
フランベジアで発症する早期の骨々膜炎は、全てのトレポネーマ症の場合と同様、長管骨部に多い。フランベジアでは3つの局所病変が生じやすいと考えられる。多指症では、指骨基部の骨々膜の過形成を伴い、片側または両側の手の指が《カブ状に》変形するが、皮膚には影響がない。 goundouまたはngoundou(大きな鼻の意味)は鼻部の骨過形成で、アフリカでのみ稀に見られる。脛骨の骨々膜炎は《サーベルの刀》と称される変形を作る。第2期の病変は、数か月続く活動期毎に進行するが、一般に治癒して治まる。

  第3期:第2期の病変に引き続き、或いは明らかな回復後または数年の潜伏期をおいて生じる、晩期の病変である。晩期のフランベジア患者には、身体に障害を負う者が最も多くなる。
重篤な症状が幾つか生じる。骨膜炎と骨炎は有痛性で、日常生活に支障を来す。X線像では、皮質は菲薄化して濃く写り、髄質は地図状に描出される。病変は複数のことがあり、軟部組織と隣接する関節を破壊する。 gangosaとは潰瘍性の鼻喉頭炎で、顔面の広範な破壊と欠落を起こすことがある。これはアメリカ型リーシュマニア症、南米のブラストミセス症、ライ、 Stewart型壊疽性肉芽腫との鑑別が必要である。
これ以外の症状はずっと良性である。Lutz-Jeanselme型傍関節結節症は、ミカン大に腫大した球形の硬性ゴム腫である。結核様または匍行性の皮膚潰瘍病変と白斑黒皮症が時おり見られるが、これはピンタの病変と紛らわしい。フランベジアの病変と鑑別されるものとして、慢性の潰瘍、ケロイド状瘢痕、手掌足底部の角化不全症または角質増殖症、色素沈着性瘢痕などが挙げられる。
尚、フランベジアでは心血管系と神経系の症状が常に欠如し、先天性の感染がないことを銘記する。
 
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