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 疫学


  病原体はクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi )という鞭毛を持った原虫で、発育上4回変態する(図1)。錐鞭毛型(trypomastigote)は細胞外寄生で、哺乳類の血中に観察される。虫態には2つの形があり、細身のもの(大きさ20μm、動原体は(kinetoplast)大きく、先端よりやや内側)とずんぐりしたもの(大きさ15μm、先端鈍で動原体が波動膜と鞭毛の終末にある)で、組織内に侵入した後、退化して伸長する。細胞に侵入した後、トリパノソーマは大きさ2−3μm の球形の無鞭毛型(amastigote, micromastigote、図2)になる。この型は心筋のような横紋筋やリンパ節で大量に増殖する。寄生した細胞は死に、放出された原虫は再び錐鞭毛型となって昆虫の細胞に寄生する。宿主の免疫反応が発達すると共に、寄生数は減衰する。媒介動物や培養中では、上鞭毛型(epimastigote、図3)と前鞭毛型(promastigote)が出現する。 T.cruziのアイソエンザイムやDNAを用いて、幾つかの型に分ける者もいるが、臨床上、疫学上の観察所見と一致しない。特にザイモデームの多様性と病原性には全く相関がない。
  感染動物は沢山の野性動物(げっ歯目、アルマジロ、オポッサム、コウモリ)と家畜(イヌ、ネコ、イネエズミ)に見られ、ヒトの健康保虫者もいる。
  伝播は節足動物のサシガメ(スペイン語圏ではvinchuca, chupones, pito、ブラジルではchupao, barbeiro)に因ることが確認されている。50余りの種が記述され、そのうちの3種(Triatoma infestans, Rhodnius prolixus, Panstrongylus megistus) がヒトの生活に適応する(図4・上段左からT.infestans, P.megistus, T.brasiliensis、下段左からT.sordida, R.prolixus, T.dimidiata)。これらはナンキンムシに近い半し目に属し、アメリカのサシガメは昼間は土中、土壁、藁屋根の間で過ごし、夜間に活動する(図5・夜間に土壁上に吸血に現われたサシガメ)。幼虫、蛹、成虫の全ての発育段階で雌雄とも吸血する。ヒトを刺すときは殆ど痛みはなく、目覚めることはない。この媒介昆虫はヒト又は感染動物を吸血する際に感染する。2−3週間余りして感染型となり、大量のトリパノソーマを糞中に排泄する。排便は刺撃と一致しており、感染した便が皮膚の上に落とされる。皮膚をひっかいたり、粘膜(特に結膜)を擦ったりしたときに、病原体が侵入する(図6・サシガメ糞中のmetacyclic tryponastigote)。
  極めて希に、媒介昆虫を介さずに感染することがある。経胎盤(トリパノソーマ感染母体から生まれる0.5-2%)ほか、母乳、輸血、実験室での事故や感染動物の死肉からも感染する。
  本疾患はアメリカの熱帯地方に浸淫し、北緯19度(テキサス)から南緯39度(アルゼンチン北部)にわたる(図7)。動物間での疾患の拡大はヒトのそれよりも大規模で、疫学上悪い兆候を示している。Chagas病は田舎の大牧場や大農場の荒土壁の家に大抵見られるが、同様にラテンアメリカの大都市を取り囲むようにある貧民街にもある。米国では現地人に3例の報告がある。

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