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 臨床症状


  T.gambienseに因る西アフリカ定形型睡眠病
  患者は無症候期の後、定形型では通常、リンパ−血中期と脳局在期の二期を見る。
 
 潜伏期
  吸血により感染してから、潜伏期は通常5−20日だが、時には数年継続する。熱帯の現場ではたくさんのglossineが活発で、しばしば吸血されたことが明確でないことがある。一方で、即時型の局所反応を引き起こすこともある。接種性またはトリパノソーマ性下疳(Le chancre trypanosome)といい、有痛性又は掻痒のあるセツを呈する。時には付属リンパ腺炎が数日続く(カラー図譜XVI)。
 
 第1期
 これはリンパ−血中期、或いは汎発期である。発熱、リンパ節腫大、肝脾腫、さらに皮膚に全身性組織単球性トリパノソーマ播種症がこの期に見られる。
   
 発熱:中程度の熱発が38度から38.5度の間で一定して続く。精神錯乱を来し、解熱薬、抗マラリア薬、抗生剤、ステロイド剤に反応しない。様々な全身状態の変化が認められる。リンパ節炎:鎖骨上部に鎖状のリンパ節腫大を認めるのが特徴的である。腋か部や鼠径部では極希である。これは直径1−2cmの中程度に肥大したガングリオンで、弾性で可動性のある硬結で、決して化膿しない。
 
 肝脾腫:中程度で一定しない。
 
 皮膚所見:10−20%の症例でしか見られない。特徴的なtrypanidesは白い肌で時折見られる。これは直径5−15cmの多環性の丘疹性紅班で、中心部が明るい。選択的に体幹部や四肢の近位部に現われる。突然出現しては一過性に消失する。掻痒はかなり多い。オンコセルカやヒゼンダニによる疥癬がないことを調べる。顔面浮腫はくるぶしより希だが、出現当初に《日本人様顔貌》と称される。
 
 第2期
  脳間葉部と血管周囲炎による脱髄が本態の、脳局在期又は脳髄膜炎期である。
  通常熱発を伴うが、リンパ節炎と肝脾腫、皮膚所見は消失する。神経学的所見は多様に現われる。睡眠病の浸淫地域では、新奇な神経学的所見はいずれもトリパノソーマ症が発症しているという逆の証明になる。
 
 感覚障害:早期に見られる。従来云われる深部知覚過敏(Kerandel徴候)は欠落することがある。例えば適度な圧迫でも有痛性であれば、病気を否定出来ないくらい、決定的に重要な徴候と説明される。同様に知覚異常や筋肉の痙攣、神経根の痛みや神経痛、或いは部位に分かれた知覚過敏や知覚異常を認める。
 
 精神障害:感覚障害とほとんど同じくらいの頻度で、病気に因り陽気になったり、無欲状となったり、落ち込んだり燥いだりという単純な性格変化に留まる。病気に因り急性の精神障害の既往があると、犯罪行為、徘徊、自殺衝動、変態行為で刑務所や収容所に収監される場合がある。
 
 睡眠障害;後期になると特徴的である。初期には昼夜の周期が逆転するのみである。昼間の眠気が夜間の不眠になり、トリパノソーマ症の場合後期には、恒常的な精神朦朧状態に入る。睡眠病という名前通りの特徴である。
 
 運動障害;希でいろいろある。偽腫瘍性麻痺、痙攣発作、戦慄、舞踏病的又はアテトーゼ様の異常運動、小脳性の連合動作不全、錐体外路性の反射減衰が見られる。
 
 神経−内分泌障害;間脳−下垂体系に異常が証明される。体温調節と口渇に障害を認め、性欲の喪失、無月経、不妊、下垂体性の甲状腺機能不全を生じる。
図1 図2 図3

図4 図5 図6

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