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  動物の蠕虫症がヒトに成虫で感染したもの
   皮下への感染:Poikilorchis congolensisは(生活環が不明の吸虫である。ヒトには稀で、ザイール、ギニア、ナイジェリア、ブルキナファソ、サラワク、日本で報告がある。この虫は後耳介の皮下に、無痛性で褐色の液体と成熟した虫卵を充満させた膿瘍を形成する。治療法は外科的なものだけである。
   消化管への感染:大半は良性のもので、ヒトに特異的な蠕虫症との鑑別も問題がない。
 食道と胃への感染:Physaloptera caucasica(コーカサス線虫)はアフリカ熱帯地方とロシア南部のサルの寄生虫で、近隣の1種はラテンアメリカに見られる。ヒトには大型(3-5cm大)の虫が食道または胃粘膜に吸着し、びらんを起こして、不全失語、悪心、嘔吐、心窩部痛の原因となる。Gnathostoma spinigerum(有きょく顎口虫)は極東で内臓の幼虫移行症の原因となることが多いが、ヒトの胃で通常の宿主である猫と同じように、成虫となることは例外的である。
   空腸と回腸への感染:回虫の2種、Ascaris lumbricoides suum(ブタ回虫), Toxocara cati(ネコ回虫)は偶然にヒト体内で成虫となるかも知れない。動物の鈎虫では、Ancylostoma ceylanicum(セイロン鈎虫), A.caninum (イヌ鈎虫)が小腸で成虫となり、十二指腸炎と貧血を引き起こす。猿の糞線虫であるStrongyloides fulleborni(サル糞線虫)はパプアニューギニアとフィリピンで感染を起こす。
  毛様線虫(Trichostrongylus colubriformis, T.orientalis(東洋毛様線虫))は通常反すう動物の消化管に生息する。この寄生虫は世界各地にいるが、本症は特にエジプト、中東、南アジアによく見られ、黒アフリカとラテンアメリカには極めて少ない。
臨床症状は腹部の漠然とした痛みと悪心、中程度の貧血が主体である。診断の方向付けは血中の好酸球増多と糞便検査による。この虫卵は鈎虫のそれと類似しているが、ずっと大型で分割球には沢山の分節がある。治療にはhydroxynaphtoate de bephenium(Alcopar)を朝の空腹時に1包、小量の水で服用する。tiabendazole(Mintezol)を50mg/kg 1回内服、 pamoate de pyrantel(Combantrin)を125mg/10kg単回投与するのもよい。
   Capillaria philippinensis(フィリピン毛細虫)はタイとフィリピンで、淡水産の魚を生で食した後に生じ、熱帯性スプルー様の重篤な下痢の原因となる(図1・脱水に陥った患者)。診断は糞便中に虫卵(図2)または幼虫を証明することによる(図3・小腸粘膜内の成虫と幼虫)。tiabendazole(Mintezol)を長めに使用すると効果があろう。mebendazole は400mg/day を20-30日間投与すると有効である。
   acanthocephalesは豚とげっ歯類の寄生虫で、ヒトには中間宿主の昆虫にいる幼虫(小麦粉にいる寄生虫)を偶発的に経口摂取することで感染する。本症は欧州、アフリカ、中東に見られる。症状は滅多に出現しないが、腹痛、悪心、下痢、発熱がある。診断は好酸球増多と摂食後3週間して見られる虫卵を証明することである。雄のシダからの抽出物が有効なことがある。
   大腸への感染:Oesophagostomumは幼虫または成虫が大腸粘膜を貫通することがある(内臓の幼虫移行症を見よ)。Ternidens deminutus(縮小線虫)は元々サルの線虫で、東アフリカではヒトにも見られる。鞭虫でブタ(Trichiuris suis) とイヌ(T.canis) に寄生するものが、時おりヒトに迷入する。Oesophagostomumは大変病原性があるが、その他は糞便検査で問題になる以外に無症状である。Angiostrongylus costaricensis(コスタリカ住血線虫)は中米で特に小児に多く、急性虫垂炎と消化管の好酸球性肉芽腫の原因となる。
 
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