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AMDAインドネシア・マリノ農場フードプログラム2019年度活動報告

公開日:2020年05月07日
 
AMDAインドネシア アグネス・ランピセラ
(訳:近持雄一郎)
  
AMDAインドネシア支部より、『AMDAインドネシア・マリノ農場フードプログラム』の2019年度活動報告が届きました。

岡山県真庭郡新庄村にあるAMDA野土路農場で研修を受けたインドネシア人研修生のイカワティ氏が故郷であるインドネシア国ゴワ県マリノ村に戻り、有機農業を開始。アジアに有機農業を根付かせる活動の一環として2014年度より現在まで継続されているのが当事業です。

開始当初、同村でたった1件の農家が始めた有機農業ですが、有機農家の数も現在14件を数えるに至りました。有機米や有機野菜に加えて、2019年度からは伝統的な赤米の生産と流通を開始。健康志向が高まる都市部にて好評を博しています。

 

■インドネシアの村社会に根付く相互扶助の精神“ゴトン・ロヨン”

水田における稲の計測作業から、作物の病気や害虫対策における相談など、農家たちはその都度皆で集まり、助け合って農作業に励んでいます。インドネシアでは、このような助け合いのことを“ゴトン・ロヨン”といいます。ここに通底するのはAMDAの理念である「相互扶助」の精神そのものです。

 

■2019年度よりスタートとした赤米の栽培

市場調査や消費者調査をもとにディスカッションを重ねた結果、AMDA農場の提携農家達は2019年の1月より伝統的な赤米の栽培を始めました。有機米の需要が都市部において少しずつ伸びてきた中、赤米はさらに高価である一方、2019年度に出荷した分は完売しました。このため赤米の持つ市場的なポテンシャルは非常に高く、今後も高い需要が見込まれています。

    収穫した赤米をサンプリングし、試験的に加工して生産高の見積もりを出している様子

    
 

【生産者たちの声】

カディールさん

地元バトゥラピシ生まれのカディールさんは今年で66歳、赤米をはじめ、ケールなどを栽培しています。作物は有機農法で育てているため、自家製の天然除虫剤を散布するなどして、害虫や病気から作物を守ることに余念がありません。葉喰い虫や芋虫のみならず、野生の豚などの害獣による被害がおよぶこともあるそうです。

AMDAに収穫後の米を一度買い取ってもらうことで、農家は事業の資金繰りや個人の収入面で非常に助かっているといいます。

  

葉を食い荒らす芋虫

天然の除虫剤を作っている様子

  

サニアさん

一方、生産者の中でも若い世代であるサニアさん(29歳)は、赤米のほか、レタス、カラシナ、唐辛子、エシャロットなどを栽培しています。もともと多くの農家が自分たちで消費するための野菜を畑で育てていましたが、有機農法で野菜を作るようになってから、今ではこれらが収入源の一つになっています。

農家はそれぞれ、赤玉ねぎや人参、豆などを育てており、野菜の栽培は、米の収穫の後半の時期にあたる7月から11月にかけて行われています。

  

レタス

赤玉ねぎ

人参

 


【市場の反応】

前回出荷した通常の有機米(白米)に対する消費者からの反応は上々でした。マカッサル近郊のマロスでは、政府の農業技術研究施設があるせいか、消費者の多くは学者や医師が多い印象を受けました。この他、リピーターの中には地元の大学生や日本領事事務所の現地職員などもおり、同事務所で働くモニカ氏は、「お寿司屋さんで食べたお米と同じ味がする」と述べました。消費者の赤米に対する反応については現在市場調査を進めていますが、出荷分の全てが売り切れたことから、生産者側も確固たる手ごたえを感じているようです。これを受けて、2020年度も事業の継続が決まり、今後、有機農業が益々東南アジアの地域一帯に定着していくことを願って止みません。
  

前回出荷した通常の有機米(白米)

新たに生産した赤米


2019年度AMDAマリノ農場フードプログラム活動報告(日本語訳)はこちらからご覧頂けます。

 

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