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岡山県国際貢献Local to Local 技術移転事業 - 内視鏡研修報告 -

公開日:2020年01月09日
 
モンゴル国立医科大学 内視鏡医 アユシ エンフーアマル

2019年8月28日から2019年11月27日まで約3か月、岡山県国際貢献Local to Local 技術移転事業の助成をうけ、岡山済生会総合病院において内視鏡の研修をうけました。

 

モンゴルとは異なるスクリーニング検査

岡山済生会総合病院では最先端の内視鏡検査が導入されており、日々、上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査をはじめ、様々な症例を多数見学することができました。基本となる日本の上部消化管スクリーニング検査システムは、モンゴルが基準としているロシアの診断方法とは全く違っていました。特に「胃炎の京都分類」は私にとっては新しい診断基準であり、殊に上部消化管内視鏡検査におけるヘリコバクター感染症の診断については、この京都分類でより詳細にまとめられています。ヘリコバクターピロリ菌の検出と除菌は胃がんの予防に必須であることは周知の事実であり、胃がんの発見が遅れることの多いモンゴルではこの「胃炎の京都分類」を診断基準としていく必要性を強く感じました。内視鏡学会などでの情報共有を進めていきたいと考えています。また系統的なスクリーニング検査システムの導入も必須です。病変を正確に判断できる病理医の知識と技術の向上も課題であると思います。
 

岡山済生会総合病院での研究を通して

私は以前、2011年から2015年まで日本の大学に留学していたことがあります。その時はほとんど動物実験と机上の知識習得で、病棟研修を経験することはできませんでした。しかしながら、今回は、研修の一環として、指導医のもと超音波内視鏡を実際に操作する機会を得ました。また消化管の粘膜異常を診断することに大いに役立つNBI拡大内視鏡を実際に操作する機会も何度か得ることができました。実践的な内視鏡治療の研修を通して、出血を防ぐための止血クリップが内視鏡手術においてとても重要な役割を果たしていると実感しました。

実際に内視鏡を操作すること以外に、様々な内視鏡手術の見学も行いました。岡山済生会総合病院ではESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とEMR(内視鏡的粘膜切除術)を組み合わせた手術が行われていました。多くの治療症例を通じて、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)においては病変に適したデバイス選択が重要で、確かな治療技術を身につける必要性を強く認識しました。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に関する知識は岡山済生会総合病院における研修以外にも、岡山国際交流協会の支援で購入していただいた書籍"Endoscopic Diagnosis of Superficial Gastric cancer for ESD"でさらなる知識を深めることができました。 ESDについては、知識としては十分に学ぶことができたので、帰国後も正しい判断をすることができると確信しています。

またEMR(内視鏡的粘膜切除術)では、大きなポリープ切除後の出血を防止するためのディスポ―ザブル結紮装置の使用法についても学びました。

加えて感染を防ぐ内視鏡の洗浄技術は、現在モンゴルでも課題となっています。この点についても岡山済生会総合病院での研修を通して、内視鏡洗浄方法の詳細な過程があることも学びました。

研修期間中、毎週火曜日午後7時から開催されている症例検討会議に参加させていただいたことも大きな学びとなりました。会議では、難しい症例について各医師の病変に関する考察から様々な治療法が検証され共有するといったチーム医療の大切さを強く共感しました。

さらに消化管狭窄に対するバルーン拡張やステント留置、また小腸ダブルバルーン内視鏡検査、胆膵におけるERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)を見学しました。ERCPでは、ステント留置、交換技術を学びました。また食道静脈瘤の待機治療として行われているEISL(内視鏡的硬化療法結紮術併用療法)を見学する機会も得ることができました。私は今回の研修で学んだNBI(狭帯域光観察)診断、色素内視鏡、大腸内視鏡スクリーニング検査法等をモンゴルで活かしたいと考えています。
 

消化器内視鏡学会総会に参加して

研修期間中、私の指導医である伊藤先生の紹介で11月21日から23日にわたって神戸で行われた第98回日本消化器内視鏡学会総会に出席する機会に恵まれました。21日の午前は胆汁うっ滞性肝疾患の発病や新しい治療方法に関するセッションに、午後はクローン病に関する現状と将来の見通しについてのセッションに参加しました。22日の午前は機能性ディスペプシアにおける最新の理解や治療方法について考察を深め、さらに午後にはバイオメーカーの適用方法、遺伝子検査に関するセッションに参加し、消化器癌に関する診断や治療法についての討論がありました。同日午後はクローン病に関する最新の診断法、胆膵疾患の画像診断法についてのセッションに参加し、夜はハーバード大学医学部大学院のアンソニー教授の特別講義「Update on Treatment Options for Chronic Constipation」を拝聴することができました。この3か月間の内視鏡トレーニング研修でお世話になった岡山県庁、岡山県国際交流協会、AMDA、岡山済生会総合病院、モンゴル国立医科大学への感謝とともに、特にお世話になった岡山済生会総合病院病院長の山本先生、同病院内科医長の伊藤先生、AMDA内視鏡プロジェクトリーダーの佐藤教授、岡山県県民生活部国際課の伊原様はじめ国際課の皆様、岡山県国際交流協会の小田様、そしてAMDA菅波理事長、難波様には重ねてお礼申し上げます。
 

岡山済生会総合病院 内科主任医長 伊藤 守先生より

消化器内視鏡は日本が世界をリードする数少ない医療分野です。アマル先生はそのことを良く理解してくれていましたので研修も順調に終えることができました。アマル先生は、一見消極的に見えますが要所はしっかりと押さえていて、時々専門的意見を訪ねてみると、さすがと思わされることが何度もありました。
少し時間はかかるかもしれませんが、先生方の活動の成果がモンゴルでも間違いなく花開くことと確信しております。微力ながらお手伝いできたことは自分にも良い経験となりました。
皆様方の益々の発展をお祈り申し上げます。
有難うございました。
 
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