1984年設立、国連経済社会理事会総合協議資格NGO 特定非営利活動法人AMDA

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フィリピン活動展望(3)〜フィリピン農村再建運動(PRRM)と地域振興策連携〜

公開日:2019年07月18日
 
AMDAインターナショナル代表 菅波 茂
 

PRRM元代表ガニ氏

2019年5月。フィリピンのバタアンにあるフィリピン農村再建運動(PRRM)の元代表だったガニ氏の実家を慰問のために訪れた。マニラ市から車で3時間だった。彼の実家は水田に囲まれた農村にあった、彼は8人兄弟の2番目だった。若い頃は反マルコス運動で刑務所に2回も入っている活動家だった。私がPRRMと知り合ったのはジュアン・フラヴィア(Juan M.Flavier)上院議員が代表だった頃だった。その流れでPRRMの代表者だったガニ氏と知り合い親しくしてもらった。気さくな人柄で、興が乗るとギターを片手に「Imagine」を歌ってくれたものだった。

PRRMはフィリピン全土に農業を主体とした活動を展開している。いわゆるナショナルNGOである。貧しい農村の復興が主目的である。

2013年4月に岡山で開催した「アジア相互扶助災害医療ネットワークの発足会議」に参加。参加者全員で岡山県の西北に位置する新庄村を訪問して小規模(当時の人口960人)ながらも行政、教育、消防団など相互扶助を基盤としているコミュニティを視察し、村の人たちと交流をしてもらった。2014年には新庄村で有機農業を実施しているAMDA野土路農場にPRRMから2名が派遣されて実習を行った。
 

ガニ氏岡山県新庄村AMDA野土呂農場訪問

PRRMから派遣された実習生が農作業


ガニ氏のパートナーだったリサ氏と、AMDAがPRRMにどのようなお手伝いができるか話し合った。AMDAがお世話役になっている一般財団法人 国際医療貢献プラットフォームがAMDAバングラデッシュ支部の活動である小規模融資プログラムに果物や野菜の乾燥機の導入を考えている話に大変興味を持ってくれた。PRRMの主たる活動地は農村であり、野菜や果物が対象である。せっかく生産した野菜や果物の半数が次の3つの理由で売れなくなる。1)傷がつく。2)形がいびつ。3)生鮮期間を超す。この問題点を解決できるのが乾燥器である。ただし、フィリピンでは大規模な会社が乾燥器を使っているので一般農家の新規参入は無理とあきらめていたとのこと。

リサ氏(中央)

ガニ氏の弟(左)とリサ氏(左から2人目)との話し合い


私は一つお願いをした。AMDAバングラデッシュ支部は小規模融資プログラムの利益の一部をダウン症候群の子ども達の社会参加の啓蒙普及活動の財源としている。将来は、農村の人たちと一緒に乾燥器を使用した果物や野菜の乾燥商品を作るお手伝いを考えている。即ち、社会参加である。これは世界保健機構(WHO)の健康の定義である「心身ともに健康で社会参加」の一番重要な部分である。PRRMがフィリピン全土に展開している農業部門に乾燥器の導入と共にダウン症候群の子ども達の社会参加という形の支援をしてくれればAMDAとしても全力でお手伝いができると。

バングラデシュでダウン症の子どもたちが社会参加

バングラデシュの農村の人たちと


リサ氏の返事は勿論「YES」だった。彼女の想いはさらに発展した。「将来、乾燥機自体をPRRMとしてフィリピンで生産して、東南アジアの国々に普及させたい」と。彼女は農村の女性たちの収益向上に乾燥器の果たす役割がひらめいたのだと思った。乾燥器を岡山で製造している大紀産業の安原宗一郎社長(国際医療貢献プラットフォーム評議員)にも彼女の意欲を伝えた。「前向きに考えます」との返事。今後が楽しみである。
 

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