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ネパールテレビ局スタッフ、日本での研修経験がネパールの教科書に

公開日:2019年07月01日
 
ネパール担当:アルチャナ ジョシ

2015年4月25日、M7.8の地震がネパールを襲いました。9000人の命が失われ、23000人以上が負傷。ネパールで80年ぶりとなる大地震は、自然災害への防災対策の不十分さ、防災知識や備蓄の不足を浮き彫りにしました。ネパールのメディアも同様で最善は尽くしたものの、災害に対する充分な備えはありませんでした。当時、緊急救援のためにネパールへ入っていたアムダグループの菅波代表へのインタビューがきっかけとなり、RSK山陽放送株式会社様のご支援により、ネパールの民間放送局、Image Channel社から3名のメンバーが、防災先進国といわれる日本での研修の機会を得ました。これはネパールにおける災害時の報道の役割を考える大きなきっかけとなりました。

来日したメンバーたちはRSK山陽放送含む報道3社を訪問し、災害時の放送局としての役割、事前準備などについて学びました。また、東日本大震災の被災地の一つである岩手県大槌町、兵庫県にある「人と防災未来センター」、岡山市消防署などを訪問しました。研修に参加した3名のスタッフは、防災の基本は、1)自分で自分の身を守る、2)近所の人たちが助け合う、3)政府や自治体などが支援する、の3つがあり、まずは住民の防災意識を高めることが大切だということを理解しました。加えて、自治体が実施する防災訓練や防災教育の対象が子どもたちも含まれていることを知り、小さいころからの関わりが防災意識を高めるためには大切であるという認識を深めました。

研修を終えて帰国したチームは、Image channel社内で、東日本大震災でテレビ、ラジオそれぞれが果たした役割、日本のテレビ局の災害に対する準備や、消防署の様子など、日本で学んだことについてスタッフと共有し、その後、番組を作成しテレビで放送しました。また、ネパールの教育、医療、メディア、ボランティアなどの分野で活躍する専門家を招待し、日本で学んだことをもとにネパールで必要な防災教育、防災訓練について話し合う番組を25回シリーズで放送しました。この番組は、ネパール国民の防災意識を高める番組として高い評価を受けました。


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今回は、チームのレポータとして来日したタクル氏は日本研修で経験したことを、「日いずる国」という題名の随筆は、ネパールの私立小学校4年生の国語(ネパール語)の教科書に掲載されましたので、以下に紹介いたします。
 

著者:タクル ベルバセ氏

日本の関西空港に着陸しようとしている飛行機の中からは海しか見えなくて、「飛行機は一体どこに着陸するのか?」私は自分の不安を隠せずカメラマンのナビン氏に話した。我々の会話を聞いていたアヌパ氏は何も言わず、ただ笑っていました。飛行機は無事に着陸。空港に迎えに来ていたアルチャナ氏に自分の不安を隠せずついに聞いてしまいました。「空港は海のそばにあるのですか?彼女に「この空港は埋め立て造成地ですよ」と言われた時にはすごくびっくりしました。

2015年4月25日にネパール中部地震発生後に日本で起きた大きな地震や津波について耳にする機会が多くなりました。今回は自然災害について学ぶために日本にやってきました。日本は地震や津波の発生率が多い国ですが、日本人は災害を怖がらず、日ごろから災害から身を守るために準備していることがよく分かりました。

2011年に起きた津波の被災地を訪れた際に、ネパールの大地震を思い出し、とても悲しく思いました。東日本では震災が起きて24時間以内にすべての避難所に政府から食料品などの援助が届けられたことを聞いて驚きました。政府は被災者への医薬品、食品、住むところの手配を着々と進められたそうです。我々が被災地を訪れたのは大震災から4年後のことでしたが、人々が安心して住めるように様々な工夫をしながら新しい街作りが始まっていました。

岩手県大槌町のアムダ大槌健康サポートセンターを訪問した際に、菅谷安美さんに会いました。ネパールで地震が起きたと知って寄付金を募ってネパールに送ってくれたようです。「ネパールは大好きです。地震の被災者に支援できたことはとても嬉しく思っています」と菅谷さんの同僚の大久保彩乃さんが語ってくれました。

20年前に阪神淡路大震災で全壊した神戸の街は被災の面影は一つもなく、美しい街に生まれ変わっていました。我々は阪神・淡路大震災記念、人と防災未来センター訪れた時に過去に起きた地震やその被害の様子を見て、日本人は地震など自然災害で被害を受けた場所を元よりも美しい街に変えることが得意なのだと感激しました。このセンターに毎年多くの学生や一般の人々が訪れ、防災教育の大きな役割果たしていることが分かりました。

日本人は、自然災害は避けられないものとして受け止め、平時から防災訓練や防災教育を徹底的に行っていれば「助かる命がある」という考えをもっています。我々が訪れたメディアや行政事務所、どちらも常日頃から災害に備えて食料品の備蓄やマニュアルの作成など、いつ災害が起きても動きやすい準備をしていることを見て、「起こりうる災害に立ち向かう」ように思えました。

日いずる国と知られている日本は島国ですが、中に入ってみると山々もあります。しかし、道路は山を削って作っているのではなく、山を掘ってトンネルを作っていました。日本の山々を見て自分はネパールにいるような感じしました。また、あっちこっちに仏教のお寺を見て、「自分は仏陀が生まれた国から来た」と誇りに思いました。

日本人は仕事が大好きで、仕事のこと以外のことを考える時間がなさそうでした。一生懸命に仕事をして、自分の国を発展させた日本人はとてもやさしい人々です。仕事は大好きな日本人は「人と会うときに必ず頭を下げて挨拶をする」おもろしい習慣を持っています。日本に一週間滞在した我々は、いつの間にか人と会うと自然に頭を下げるようになっていました。日本では就労可能でありながら職につかない人の評判が良くなく、社会や家族から孤立無援になっているように思いました。

我々は日本での研修期間中に災害対策、防災意識、防災準備などについて学ぶ機会に恵まれました。今回の日本での研修は特定非営利活動法人アムダとRSK山陽放送のご支援をいただき、実施できました。日本滞在中はアムダのアルチャナ氏、RSKからレポータの武田博志氏、カメラマンの中村新一氏がずっと一緒に同行していただき、我々の理解度を確認しながら分かるまで説明してくださいました。

旅で学ぶことがたくさんあると実感した研修期間でした。全国民が自分の国を自分の家のように思って国の発展に貢献すれば、ネパールも日本のようになれると思い我々は帰国しました。見送りに来てくださったアルチャナ氏、中村氏は「日本で勉強したことをネパールの人々に教えてねと」手を振りながら言われました。」

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RSK山陽放送株式会社様からもコメントをいただきました。
 

RSK山陽放送 会長 原 憲一からのお言葉

菅波茂代表から「地震で大きな被害を受けたネパールに、放送局として支援して貰いたい」との申し出に、RSKの災害報道やドキュメンタリー制作のノウハウが役に立てればと取材を御受けしました。阪神大震災を経験した毎日放送、東日本大震災の岩手放送など系列の放送局に協力を頂いてネパールの方々に災害への備えの大切さが広く伝えられたことは、大変意義のあることだと感じています。放送局は地域に正確な情報を迅速に伝え、命を守る使命があります。災害報道は放送局の一番重要な役割となっておりRSKはこれからも地域で一番信頼される放送局でありたいと考えています。
 

武田博志様からのお言葉

タクルさんが仰っていた「地震からネパール国民の命を守るために私たち放送局にもできたことがあった筈」との後悔の言葉は、改めて私たち自身も、災害報道の意義について思い返すきっかけとなりました。皆さんの日本での経験がこれから多くのネパールの方々の命を救う一助になればと願うとともに、私たち自身も今後災害から多くの県民の命を守るために、出来る限りのことを実践していきたいと思います。
 

中村新一様からのお言葉

「タクルさんたちの日本での経験が、少しでも多くのネパールの方々の防災意識を高めるために役に立っていると聞いて嬉しく思います。私も24年前の阪神大震災が初めての大災害の取材でした。これからも災害報道についてお互いに学びながら放送する事で少しでも多くの人達に災害から身を守るために役立ってほしいと思います。」
 

Image channelの副社長モハン氏のお言葉

Image channelのスタッフ3名がアムダとRSK放送局のご支援のもと日本で防災教育、災害対策について勉強し、帰国後、自分たちが日本で学んだことをもとに番組を作成し放送しました。この番組は国民の防災意識を高めることに大変役に立ったと確信しております。この度、日本で学んだことが小学生の教科書に記載されたことをとても嬉しく思います。
 

日本に来たチームリーダーのアヌパ氏のお言葉

私たちが日本で経験した内容が小学校の教科書に記載されとても嬉しく思っております。今後ネパールの小学生が私たちの経験を通して日本の災害に対する意識について学ぶと思います。私はこのチームの一人であったことを誇りに思います。また、このような機会を提供していただいたAMDA とRSK 放送局の皆様に心より感謝申し上げます。



 
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