AMDAバングラデシュ医師との診療
難民が暮らす家
二番目は空気の問題です。自然災害の復興に対しては現場も行政も国民感情、マスコミ報道、全てが、程度の差こそあれ同じベクトルを向きます。これに対して難民問題は政治が絡んでくるため、非常に難しい。またバングラディシュが彼らを歓迎するかというとそうとは言い切れず、むしろ軍隊が検問を厳重において域外への流出を取り締まっており、100万の難民が国内に散った場合の潜在的な危機感があるのではないかと思います。しかし、逆の視点から考えると、もし彼らがミャンマーにいたままであれば活動は成り立たないでしょう。政治的には彼らが国境を越えたおかげで、ミャンマー政府に気を使うことなく活動が出来るのだと考えました。
三番目は状況の安定性です。キャンプにいるということは最低限の衣食住は確保されていると考えられ、我々もスタッフの衣食住に関しても活動の内容に関しても安定したものになると思いました。災害支援活動では状況・ニーズが日替わりで変わるため、計画が立てづらい。それに比べると、予定も立ちやすく、スタッフの募集もしやすいのではと考えました。
以上、きわめて実務的な論点ではありますが、活動を通じて感じたことを述べさせていただきました。AMDAの本部スタッフの方、またAMDA バングラディシュの方々には大変お世話になりました。現地・日本のスタッフの熱い想いを感じ続けながら、難民支援に関して短期間に多くの体験をさせていただきました。今後この経験を我々の活動に生かしていくことが、参加したスタッフとしての責任と考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。