4月23日、AMDA・TICO合同医療チームの看護師1人は、ほぼ終日、ベレグスラーニー(Beregsurany)にあるヘルプセンターでウクライナから避難してくる方々と過ごし、健康を見守るほか、環境整備などを行っている。
4月21日、現地協力者たちがウクライナから避難してきた子どもたちのため、キシュバールダにてスポーツチャリティイベントを開催。現地協力者の要請により、看護師もイベント会場の救護所に入り、何かあったときに備えた。更に、子どもたちの参加賞としてジュースやお菓子などを提供した。このイベントに参加した子どもたちが笑顔で踊っていたのが印象的だった。
4月22日、60代の男性が仮設診療所を訪れた。とても強いストレス、くしゃみと咳、呼吸困難の症状を訴え、診療所にいたオランダ人医師の指示のもと、急ぎ心電図をとった。深刻な異常を確認したため、至急救急車を呼び、その男性を処置が可能な病院へ搬送することができた。その後も、高血圧によるめまいや頭痛を訴えられる方々が次々と診療所を訪問、対応に追われた。避難者が減少したとしても、医師の常駐を含む、仮設診療所の必要性を看護師は感じた。
4月8日、現地協力団体カルパッチヤハウス(Karpatalja Haz)に車両1台を寄贈した。AMDA・TICO合同医療チームがハンガリーでの活動開始後からともにウクライナ支援を行ってきた同団体は、ウクライナに物資や医薬品などを届けている。この運搬に必要な車両の一台がレンタカーであることを伺ったチームは長期化する事態を鑑み、同団体に提案、調整のうえ、今回の寄贈となった。
合同医療チームは、これまでにこの団体を通し、ウクライナの病院や避難所となっている施設などに、医薬品や物資、生鮮食料品などの支援を行っている。
現地で活動に向けて調査を行う医学生(写真右)
この日、雨だったため外を歩く避難者は少なかった
AMDA・TICOの医師たちが24時間交代で入るベレグスラーニーの仮設診療所には、様々な患者が訪れる。一日あたりの患者数は約15人、主訴はストレスなどによる頭痛や消化器症状、感冒症状。緊急時などは複数の団体・関係者などと協力し、患者対応を行っている。
a) てんかんの既往の方に脱水、疲労があり痙攣発作を認めたため、脱水の補正をし経過観察により、一旦は症状が安定した。その日の夜遅くに38度の発熱があり、翌日になっても熱は下がらなかった。しかし、どうしてもブタベストに移動する事情があったため、医療者が同乗するワゴン車で搬送することとなった。
b) 背部痛で来られた女性は、ウクライナにいる家族の状況など不安が強く、特に夜間は医師、看護師、心理士などができる限りの見守りを続けている。
c) ウクライナで悪性リンパ腫の診断を受けた患者が早朝に来訪。朝7時に解熱剤を処方し、バイタルをチェックし全身状態を確認しながら、血液内科のある病院への搬送準備を開始。また、AMDA医師がエコーによる検査を行い、家族に状態を説明した。そして11時過ぎ、フランスのレスキューチームの救急車で、現地の医師同乗の上、病院へ搬送された。
3月20日に日本から到着した医師2人が同日より1人ずつ、24時間交代でベレグスラーニーの仮設診療所に入った。3週間前にウクライナの首都キエフ近くでロシア兵士に足を撃たれたという女性や、サハリン出身で日本は兄弟の国と話しながら自分の持病の症状を診てほしいという男性、てんかんがある子どもを連れ避難してきた親や、ウクライナで処方されていた喘息の薬がなくなったため訪れた方など、様々な背景をもつ避難された方の診療、治療を、現地医師と協力しながら実施。また、仮設診療所があるヘルプセンターで避難者を支援する現地ボランティアの方々も頭痛や倦怠感などの症状を訴え、医師が診察した。