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ロヒンギャ難民キャンプ “雨期”迎え甚大な被害懸念(2018/06発行ダイジェストNo.50)

公開日:2018年06月19日
 
プロジェクトオフィサー 橋本 千明
ミャンマーから隣国のバングラデシュに逃れているイスラム系少数民族・ロヒンギャ難民の避難生活は長期化の様相を呈しており、キャンプでの避難生活が続いています。AMDAは昨年10月にバングラデシュ南東部の都市コックスバザールにある、国内最大のクトゥパロン難民キャンプにおいて診療所を開設して以降、医療活動を6カ月続けてきました。現地での活動はAMDAバングラデシュと日本バングラデシュ友好病院が主体となり、1日平均約120人の患者を診療しています。

菅波代表は今年1月に難民キャンプを訪問。「難民はすることがない。ただ存在するだけである。大変なストレスである。私だったら数カ月も神経が持たないだろう」と振り返っています。

バングラデシュ国外からの医療者の派遣は、現地医療チームの協力を得てこれまで2回実施しました。第1回は米田哲医師(2017年12月11日〜23日)、2回目は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の医師2人と共に押谷晴美看護師(2018年2月1日〜13日)を派遣しました。国外からはこれまでに医師・調整員を含めて延べ10名を派遣しています。
 

AMDAバングラデシュ支部が懸命の診療活動

難民キャンプで活動する
AMDAバングラデシュのスタッフ

現地ではバングラデシュ人スタッフがイスラム教の休日である金曜日以外、毎日診療活動を続けています。その中のひとり、薬剤担当ビラル氏は10月22日の診療所開設当初から毎日難民キャンプで活動してきました。ロヒンギャ難民は、バングラデシュの言語であるベンガル語の方言を話します。首都ダッカで話されるベンガル語とはかなり異なるため、医療活動には通訳の存在が欠かせません。

こうした事情もあり、開設当初から診療所で活動しているメンバーの中には、ロヒンギャ難民のスタッフもいます。難民のスタッフの最も大切な役割は、ビラル氏と組んで、準備された医薬品について患者ひとりひとりに説明し、手渡すことです。彼は難民キャンプに来てから妻が妊娠、流産を経験しました。悲しみに暮れながらも「診療所での仕事は人々の命と健康を救い自らの生活も支えるものである」と語っています。

バングラデシュは世界有数の自然災害発生国で、6月から9月にかけてモンスーン時期となり年間降水量の7割の雨が降ります。難民キャンプでも衛生環境への甚大な影響と、感染症の発生・拡大や急性栄養失調によって免疫力が落ちている子どもへの健康状態悪化が懸念されています。AMDA診療所もモンスーン時期の激しい風雨に対応できるよう、修繕を予定しています。

国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)の5月15日の発表によると、2017年8月以降、新たに流入した推定難民数は71万7千人。また8月以前からの合計は、88万2千人となっています。AMDA診療所の延べ患者数は4月30日現在、1万9,346人にのぼっています。
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