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「善意の絆・相互扶助」【Vol.22】学校法人 朝日学園グループ学園長 鳥海 十児様

公開日:2019年04月11日
 
幼稚園から小学校、中等教育学校(中高一貫教育)、通信制高校を抱える学校法人・朝日学園グループ(本部・岡山市南区万倍)。園児・児童・生徒数は約2500人。建学の精神「個性を伸ばすハイレベルの教育」の実現に意欲を燃やす学園長の鳥海十児様に学園開校までの歩み、人生観などを伺いました。
 

AMDA

朝日塾幼稚園から長年にわたり、寄付などのご支援を頂いています。ありがとうございます。
 

鳥海学園長

お金を大切にする園児教育の一環として、園内に植えたみかんのバザーの売り上げと、正月のお年玉の一部を持ち寄ってもらい「困っている人のために」とAMDAに寄付をさせてもらっています。
 

AMDA

園児の温かい気持ちがこもったご寄付ですね。大切に使わせてもらいます。ところで、学園長は「恩返しよりも“恩送り”」と話しておられますね。
 

鳥海学園長

学園を創立するまでに多くの方との出会いを通し、大変なお世話になってきました。その方々に恩返しをするのは今の自分では無理なこと。それなら次の世代に返せばよい。そう考えて“恩送り”の人生を生きていきたいと考えるようになりました。
 

AMDA

お互いが世話になり、それを誰かにお返しする“恩送り社会”になれば、もっと暮らしやすくなるでしょうね。
 

鳥海学園長

AMDAさんの活動も“恩送り”の実践で、国内外で素晴らしい活躍をされている。敬意を表しています。もっと活動が広がることを願っています。
 

AMDA

学園長は大学院生の時、学問を究めたいと学者を志しておられたそうですね。
 

鳥海学園長

実家の経済的事情で中途退学を余儀なくされ、タクシードライバー、教科書のセールスマンなど様々な職業を体験しました。朝日学園グループの先駆けとなる朝日塾を起業したのは41歳のときです。もちろん無一文で、人生の一大転機となりました。
 

AMDA

塾を起業した経緯を教えてください。
 

鳥海学園長

当時、塾と学校の教え方に違いがあり、真剣に悩む先生方もおられました。そこで「学校と協調できる塾を自分たちで作ろう」ということになり、「鳥海さんも手伝ってよ」と声がかかり、成り行き上、私も一枚噛むことになったのです。
 

AMDA

その後、苦労の連続だったそうですね。
 

鳥海学園長

「朝日塾幼児教室」を開設し、幼稚園として認可されるまで紆余曲折がありました。県からは少子化を理由に門前払いを受け、資金の調達にも苦労しましたが、困難であるほど「よし、やってやろうではないか」と反骨心がむくむくと湧いてきました。
ようやく幼稚園を創り、その教育方針に賛同した保護者からの要望で小学校も創りました。「次は中学、高校を」との声が寄せられ、夢が大きく広がっていったのです。
 

AMDA

学園長はこれまでの歩みを振りかえり、どのような感想をお持ちですか。
 

鳥海学園長

目の前に大きな壁が立ちはだかり、それを乗り越えると、また難局が待っているという山あり、谷ありの人生でした。進退極まったこともありました。でも、いつも誰かに助けられました。コツコツと築いた人脈は私の唯一の財産です。感謝の気持ちでいっぱいです。
 

AMDA

朝日学園グループは、学園長の“汗と涙と知恵の結晶”と言っても過言ではありませんね。座右の銘を教えてください。
 

鳥海学園長

平櫛田中先生の言葉「いまやらねば いつできる わしがやらねば だれがやる」です。田中美術館(井原市)を訪ねた時、額に入れて飾ってあり、豪快な筆文字で書かれていました。私はいたく感銘を受け、しばしその前から動くことが出来ませんでした。学園では子どもたちの目に触れるよう、文字額や石碑で随所に表示しています。小学校の卒業式の私の祝辞にも、必ずこの言葉を入れるようにしています。
 

AMDA

オリジナル教科として、中等教育学校に全国で初めての「ディスカッション科」を設置されています。
 

鳥海学園長

人の意見をきちんと聴き、自分の意見を主張できる。この「聴く」と「主張」する、そして意見の違いを「調整できる」能力は、これからの時代にぜひ必要です。小学校でも同じ狙いで「表現科」を設けています。学園の卒業生の中から、いつの日か国連事務総長の職責に就き、あるいは国際社会に貢献する人物が出てくることを遠い夢としながら期待しています。
 

AMDA

今後の抱負を聞かせてください。
 

鳥海学園長

「次は大学ですね」と言われますが、私は「大学は自分の年齢や資金力から考えて作れません」ときっぱりと宣言しています。それより大事な使命は、幼児から大学受験までの一貫教育の体制が整ったのを機に、子どもたちの将来のため、また社会のために、教育内容のいっそう充実した学園グループに育て上げ、次の世代に継承していくことが大切だと考えます。個性を伸ばした子どもたちが志を持って世のため、人のためになることをしてくれれば、最高の“恩送り”となります。
(聞き手・広報担当参与 今井康人)

 
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