1984年設立、国連経済社会理事会総合協議資格NGO 認定特定非営利活動法人AMDA

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ネパール復興障がい者支援13

公開日:2018年02月08日
 

女子決勝ネパール対バングラディッシュ

ネパールにて2015年4月25日に発生しました地震災害では、多くの方が脊髄損傷などの障がい者となりました。ネパールは「障害」という概念がまだ十分知られていないため「病気」と混同している方が多く、障がい当事者やその家族もまた同様に捉えている方が多くいらっしゃいます。そのため障がい者となって寝たきりとなる方が少なくありません。更に、障がい者となった方は、これまでできていた生活が困難となり、生きる希望を失い、何もやる気がなくなると言う方も多くいらっしゃいます。そのため現地の障がい当事者団体からピアカウンセラーを派遣していただいて、私(理学療法士)とピアカウンセラーとで訪問活動を実施してきました。障がい当事者の経験に基づくお話は、だれもが共感なさることばかりで、最後にはどなたも笑顔を見せて訪問活動で伺った事に対して喜んでくださいます。

AMDAの障がい者支援活動では、寝たきりにさせない、寝たきりからの脱却の活動を訪問活動の主な目的とし、外に出る生活が定着し始めた方々には、更に生きる自信と勇気に繋がるように、社会復帰、社会参加にむけた取り組みも現地の障がい者団体や他関連機関と協力して行っています。

2017年11月15日〜18日、ネパール・インド・バングラディッシュの3か国による第一回国際車いすバスケットボール大会がネパールのカトマンズ市内で開催されました。AMDA障がい者支援では、主催するネパール脊髄損傷スポーツ協会(NSCISA)とともに大会に協力しました。ただスポーツをするだけでなく、障がい者の観衆にも生きる自信となることと、社会に対する「障がい理解」促進を目的に、大会の中にアイデアを盛り込むことを提案させていただいてイベントも企画、実施協力をしました。これまでAMDA障がい者支援では、メディアへのアピールを特に行うことと、車いすバスケットボール体験・ミニゲームコーナーを実施しました。これまで障がい者支援では、多くの自宅に閉じこもる障がい者宅への訪問活動を継続してきており、その多くの方が観戦に来てくださいました。障がい者の躍動感あるプレーをしている姿は、大きなインパクトがあったようです。
 

コートを2重3重に囲む観衆

特に決勝戦となった最終日には、コートの周りを3重、4重となるほど大勢の観衆が取り囲む中、選手は生き生きとしたプレーをし、試合後には誇らしげな姿を見せてくれていました。車いすというと弱々しく受け取られがちで同情の対象になりがちなネパールですが、この大会中はそれとは全く異なる姿に、衝撃を与えただけでなく、一人一人をアスリートとして声援をおくる観衆に私も協力して良かったと感動しました。実は私は、2009年に主催のNSCISAに、ネパール初となる車いすバスケットボールチーム結成に関わった経緯があります。今やネパール国内の数十のチームができるなど、ネパールの障がい者スポーツでは最も普及に成功したスポーツです。NSCISAは障がい当事者による団体です。彼らが、ただスポーツがしたいという思いで続けてきた結果でもあります。チーム結成当時から私が仕掛けとして行ってきたことは、普及のための仕掛けでした。チーム名を所属団体とせず、地域名とすることでした。それにより団体の外からも大勢の参加者が集まりました。震災前に普及が進んでいて良かったと感じています。そうした経緯があり、今回の大会でも何らかのアイデアをと依頼されたのです。

今大会のアイデアは、社会に対する「障がい理解」促進に向けたものでした。具体的には、大会期間中に、「車いすバスケットボール体験およびミニゲーム」のコーナーを行いました。車いすバスケ体験では、車いすバスケットボール用の車いすに、観衆の中でご希望者にお乗りいただいて操作方法、バスケットボールでパス、シュートを体験していただき、その後、体験者チーム対大会出場選手のチームとで、ミニゲームをしていただくというものです。これらを通じて体験者の皆さんは車いすバスケットボールの難しさを感じ、障がい者の選手チームとの対戦で圧倒されるプレーを垣間見ることです。予想通り体験した方々が障がい者に負ける構図となりました。ネパールでは、「障がい者は何もできない」という解釈をされがちですので、障がい者の能力を体感していただいて、『「障がい者は何もできない」という発想が誤りである』ことをメッセージとすることでした。

実際に体験・ミニゲームのコーナーを行って、参加各国コーチが急きょ体験コーナーにご参加くださり、コーチすら実際に車いすバスケットボールをプレーするのに苦労している姿は観衆に笑いも起こり、和やかなムードのなか、いかにプレーすることが難しいかを観衆にご覧いただく事が出来ました。体験参加者と選手とのミニゲームのあとには、コーチらがとても良い企画だったとお褒め下さいました。イベント最後に私よりまとめのコメントとして、「ネパールでは障がい者に病気という表現をよく使いますが、これは誤りです。障がい者の選手らが、どれだけ素晴らしいプレーをしているか分かりましたでしょうか。」とまとめる事ができました。  

体験コーナーで車いす操作体験

体験コーナーで選手とミニゲーム体験

 

ネパール優勝を祝い選手を囲む観衆

この国際車いすバスケットボール大会の結果は、男女ともネパールが優勝しました。優勝が決まった瞬間、観衆がコートに溢れ出して、選手らを取り囲み、同情の目で見る人はなく、アスリートとして湛えている観衆の姿がありました。

まだ寝たきりとなりそうな障がい者も多くいらっしゃいますが、生きる自信を感じていただける切っ掛けとして取り組んでいきたいと思います。
理学療法士 西嶋 望
    •  プライマリ・ヘルスケアとヘルスプロモーション(健康支援)
    •  ネパール
    •  2017
    •  緊急救援・復興支援

 
 
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