1984年設立、国連経済社会理事会総合協議資格NGO 認定特定非営利活動法人AMDA

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アフリカ・ルワンダ小児医療・学校保健 2017年度活動報告

公開日:2018年01月12日
 
94年のルワンダ大虐殺事件直後から緊急医療支援を実施してきたAMDAでは、15年からルワンダの医療人材育成や学校保健支援などの分野で支援を再開し、本年も技術移転の一環として9月に日本から医師がルワンダに入り学校健診の分野で活動してきました。

この派遣については、2016年に続き2度目、岡山県の海外技術研修員事業(国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業)の助成を受け実施しているものです。現地を訪れた岡山大学大学院環境生命科学研究科、小児科医の頼藤貴志医師と独立行政法人国立病院機構岡山医療センター、新生児科医の中村信医師より、現地の様子の報告が届きましたのでご紹介いたします。

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2017年度の活動報告


日程:9月2日〜9月10日
目的:子どもの健康向上を目的とした学校健診の導入、普及の可能性を調査する。試行を通じて学童の健康状態、疾病構成を把握し現地での学校健診導入のための基礎的データとする。
活動先:ルワンダ・キガリ、ウムチョムウィーザ(Umuco Mwiza)学園・キバガバガ(Kibagabaga)小学校、ギチュンビ(Gicumbi)郡ミヨベ(Miyove)幼少期開発センター
*今年度の活動は、2015年に岡山で学校健診について学んだルワンダ人のアキンティンジェ・シンバ・カリオペ医師(現在長崎大学大学院留学中)を中心に、日本人とルワンダ人合計5名のチームで健診を実施しました。昨年は1校での活動でしたが、今年はルワンダ行政の依頼を受け合計3カ所での健診実施となりました。

以下、頼藤医師の報告書より一部抜粋し掲載いたします。
(頼藤医師、中村医師の報告書全文は一番下に掲載しております)
 

今年初めて健診を実施した、キバガバガ小学校について


キバガバガ小学校 は7 歳から13 歳まで生徒計1,037 人が通っている。比較的貧しい家の子どもが多いと事前に説明がある。まずは学校での健診の必要性や健診でチェックする項目などについてセミナーを行う。校長先生を始め先生たち、両親や子ども、医学生など約60 名が参加。日本大使館医務官の渡邉医師も参加して下さる。セミナー後、健診スタート。健診は5名の医師で実施、日本人には医学生が通訳についてくれる。最初は12 歳ぐらいの大きな子達で順調に健診が進んだが、途中から6 歳ぐらいの小さな子になると怖がる子も出てくる。その時には、日本から持ってきた折り鶴を渡すと落ち着いて診察を受けてくれた。低栄養からなのか、全体的に身長が低い印象を受ける。昨年診たウムチョムウィーザ学園の子どもに比べて、肥満やひどい虫歯の子どもが少ない印象も受ける。身長が低いと思われる子に話を聞いてみると、朝食や昼食を食べられていないと答えが返ってきて、やはり貧しい印象を受ける。また、年齢が18 歳と高いのに小学校5年生や小学校6年生であったりし、義務教育を受け始められる年齢にも大きなばらつきがあることを知る。

健診を行うカリオペ医師

腹部の触診を行う様子


キバガバガ小学校学校健診で気になった疾病・状態

体重測定写真


1.低栄養が絡むような状態。低身長、(頻脈を伴うような)貧血を疑わせる所見、羞明(ビタミン不足からか)、低血糖による失神を疑わせる児もいた。
2.感染症。明らかなラ音を聴取する呼吸器感染症や、消化管の感染症を示唆する症状。他にも、中耳炎を示唆する所見もあった。
3.虫歯、歯肉炎。
4.不整脈や心雑音。
5.その他、先天性の奇形や骨折後両手の長さが異なってしまった子、皮膚疾患といった疾患や状態である。

昨年に引き続き健診を実施したウムチョムウィーザ学園


ウムチョムウィーザ学園では、昨年の健診で虫歯の子どもが多かった現状を受け、カリオペ医師(長崎大学大学院留学中) や合流したナフタル医師より、歯磨き指導が行われる。先生たちの掛け声に、子どもたちの反応が非常によく、とても気持ちがよかった。指導後は、一人一人に歯ブラシと歯磨き粉を配布。私も配らせてもらう。カリオペ医師は、保護者に対するアンケートを配布しており、健診など保健指導に対する親の意識を調査していた。
 

学校健診と母子保健


今年は残念ながら、母子手帳の動きに関して新たな情報を手に入れることは出来なかったが、上述のように健診は去年のウムチョムウィーザ学園と合わせ、計3か所で行うことができた。去年健診を行ったウムチョムウィーザ学園では肥満や虫歯の子が散見されたし、今年のキバガバガ小学校でも虫歯の子はいたが、肥満の子というよりは、低栄養からか低身長の子が多い印象を受けた。また、更に貧しいであろうミヨベ地区では、Kwashiorkor(栄養失調) のようなお腹の大きな子もおり、地域によって子どもが抱える問題が異なってくる可能性を垣間見た。

また、キバガバガ小学校でも、ミヨベでも、マラリアの既往歴が多かったり、マラリア、消化管感染症や呼吸器感染症を健診中に疑う児がいたりと、このような感染症と常に隣り合わせで生活している現状を見た。更に、知的障害がある児や足の奇形がある児もいたが、障害を抱える児へのサポートというのは、どうしても後回しになってしまう領域なのかなとも感じた。健診事業の良い点として感じたことは、もちろん大きな疾病の存在をチェックでき必要があれば介入に向け紹介したり、介入が必要ではないにしても、診察した医師が持っている知識の範囲内でアドバイス・指導をしたりすることが出来ることである。また今回ウムチョムウィーザ学園でカリオペ医師とナフタル医師が、昨年の結果を受けて行った虫歯指導の現場に同席することが出来たが、そのような衛生指導を通して、児や親の、欲を言えば地域の保健衛生に関する態度を変えていくことが出来るのなら素晴らしい事業だと思う。更に、乳幼児・学校健診の事業ということで行政と供に取り組むことになるかと思うが、地域行政の乳幼児・学校保健への意識を変えるという点でも意義があることかと思われた。更に副産物としては、今回の健診データを整理することにより、身長や体重などの記述を通し、ルワンダの児の成長曲線に対して(代表性や測定誤差の問題はあるが)一知見を与えることができるかと思う。

一方、健診事業の問題点・欠点としては、昨年同様、疾患を見つけても受診・介入できるのかというところがある。もちろん日本でも対処できない疾患・障害もあるかと思うが、健診で気になっても、受診・精査まで至るのかという不安はある。更に健診は、元々元気な児に行うものであり、その効果というものがどこまであるのか、また医師によってもどうしてもチェックする範囲、アドバイスする範囲というのも異なってくる。そこの標準化は難しいところかとも思われた。更に、過度に親に期待を与えすぎてしまうのではないかという危惧もある。乳幼児を健診に連れてくるのには仕事を休んでくる両親もいると思われ、その日の収入がなくなってしまうのではないかと思うと、申し訳なくなる。このような良い点、足りない点いろいろと感じる所ではあるが、医療スタッフの確保という問題はあるものの、コストもさほどかからない事業ではあり、事業から派生する(と期待される)保健衛生に対する児、親、学校、地域、行政の意識変革ということも踏まえると、期待できる事業かとも思われる。このようなNGO の取り組みだけではなく、いかにこれが行政の取り組みとなり展開されていくのか、また健診後の介入が出来るようになってくるのかが大事になると思われる。その際には、紙ベースの母子保健手帳もセットにしての展開というのが効果的と思われる。更に、例えば健診を受けた地域と受けてない地域の虫歯の罹病割合の変遷を見るなど、何か健診事業の効果を評価する必要もあるかと思われた。もちろん、健診をする医療スタッフは、日本人である必要もなく、今後いつの日かはルワンダの医療スタッフによる運営となることがより望ましいと思われる。

頼藤貴志医師の報告書(pdf)
中村信医師の報告書(pdf)


 

これまでのアムダとルワンダでの活動については、以下の通りです。
1994年4月 ルワンダ難民緊急救援プロジェクト
1997年 帰還民シェルター建設事業、病院修繕事業
1998年 マイクロクレジット(小規模融資)事業
2015年 岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業研修員受入
2016年 岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業専門家派遣
 
    •  GPSP医療事業(健康支援)
    •  ルワンダ
    •  2017

 
 
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